Caritas Japan

2007.1.11「障害者自立支援法をはじめとする福祉制度の見直しについて
障害をもって生きる全ての人が安心して暮らせる社会に向けて」

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2007.1.11

障害者自立支援法をはじめとする福祉制度の見直しについて
障害をもって生きる全ての人が安心して暮らせる社会に向けて

日本カトリック司教協議会 カリタスジャパン

  カリタスジャパンは、日本カトリック司教協議会における社会福祉推進活動と援助活動を担当する委員会として、また、バチカンに本部を置く国際カリタスの一員として活動しています。
 ご存知のように日本のカトリック教会は、聖フランシスコ・ザビエルの渡来以降、宣教師・修道者およびその協力者が先頭に立ち、福祉活動にも協働し、その理念や発展に寄与して参りました。イエス・キリストの福音に基づき、人間の尊厳の尊重、社会的に弱い立場の人との共生などを目的として、現在500を超えるカトリック医療・社会福祉施設が誕生し、活動しています。

 昨今の社会情勢の目まぐるしい変化のなか、2006年12月13日、第61回国連総会において「障害者の権利条約」が採択されました。カリタスジャパンは、本条約における障害をもつ人の尊厳、人権を尊重するという基本理念、ならびに、本条約策定に障害をもつ人の直接参加がなされたことを評価します。そして、日本政府がその理念を鑑み、障害者関連法が改善および実行されることを心から願っています。

 今日の障害者自立支援法をはじめとする福祉制度は、障害をもつ人の権利の尊重および完全な社会参加への実現を厳しいものとしており、大きな改善を必要としていると言わざるをえません。

 障害者自立支援法は、その第1条に示されているように、障害者のノーマライゼーションという思想に基づいて導入されました。当該法の理念や地方自治体の実施責任の明確化等の点で評価する声もある一方、充分な論議や社会保障制度の確立がないままの拙速な施行の結果、障害をかかえる全ての人、その家族、福祉施設関係者の不安を高め、福祉の現場で様々な問題や課題が発生しています。
 定率負担の実施により、経済的に生活できない人や家族が増え、特に障害年金で生活している人にとっては、死活問題となっています。この状況は、障害をもつ人の福祉施設利用や社会参加を後退させ、その連鎖から関係施設への補助金が減少し、職員の減少を招き、施設閉鎖を余儀なくするという悪循環を招いています。
 自治体による福祉計画の履行は評価されるべき点もありますが、障害程度区分の認定、福祉サービス量、介護移動費までが自治体に委任されたことにより、各自治体の体制によって格差が生じています。人の暮らしや安全保障が自治体によって異なることは、公正であるべきはずの国の福祉の姿勢が問われるものと言わざるをえません。この法律によって生じた障害程度区分認定とそれに基づいて提供されるサービスの一元化が、それぞれ内容の異なる障害をかかえる人々の多様性を否定しており、今のままでは、多くの人が経済的な窮地にますます追い込まれていきます。

 障害をかかえる多くの人、その家族、福祉関係者がこのような困難な状況に追い込まれることは、神の前で許される社会状況ではありません。キリストの導く神の国を目指して生きようとしている私たちは、誰ひとり弱い立場におかれたり、後回しにされるようなことがあってはならないと考えています。介護保険制度にあるような介護保険事業者の保険金不正請求の絶滅、要介護認定の適正化、過剰サービスによる給付の膨張などの検閲は、障害者の福祉サービスにおいても大切なことですが、同時に、要援護者を権利主体とする憲法に立ち返り、すべての人にあるべき社会保障水準を保つことは最も重要なことです。

 以上を踏まえて、私たちは、障害者自立支援法をはじめとする福祉制度が、障害をもつ人たちの声を反映し、真の社会参加、ノーマライゼーションへの取り組みが改善されるよう、ここに求めます。国民一人ひとりの人権、人命を尊重して生きることができる社会保障制度の確立がなされることを祈ってやみません。

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