当店が考える健康の基本B

◆免疫を正せば自力で治る◆〜免疫調整機能の強化〜

体を守る仕組み
私たちの身の回りには細菌やウイルス、空気中の塵、花粉、食物など多くの物質が満ちています(これらを抗原といいます)。日常ではこのような物質(抗原)が、どのように私たちの体に影響を与えるか知らずに生活しています。
しかし、病原性の細菌やウイルスなど生体に害を与えるものについては、黙って見過ごすわけにはいきません。生体に害を与え、時には死に至らしめることがあるからです。対抗する手段として私たちは「免疫」という生体防御機構をもっているのです。「免疫」とは体を守る不思議な仕組みのことなのです。亢進(ひずみ)しても、低下(不全)してもいろいろな病気を生じさせます。

免疫とは何か?
私たちは細菌やウイルス、塵、花粉、食物など多くの物質(抗原)に毎日曝されています。このような物質が私たちの体にどのように影響を与えているかを知らずに毎日生活できるのは、これらの物質が私たちの体に侵入してきても、排除される仕組みが体の中にあるからです。
病原菌やウイルスなどの抗原は、腸管や皮膚の傷口、粘膜などを通して体内に侵入します。病原菌に対して私たちは抗体を作ります。抗体とは外からの侵入者に対し、その働きを抑える作用をもつタンパク質です。ウイルスの場合には、これを破壊する細胞(リンパ球)が動員されます。
このような働きを「免疫」と呼んでいます。免疫系は、病原菌やウイルスなどが体内に侵入してくると、それを排除しようとする力をもっています。この免疫系は、これまでの研究から「自然免疫系」と「獲得免疫系(適合免疫)」に分けられます。通常は自然免疫系が働いていますが、これで防ぎきれなくなると獲得免疫系が働きます。一般に免疫というと獲得免疫系のことを指します。

自然免疫・獲得免疫(適合免疫)
自然免疫系は先天性免疫ともいわれ、私たちが持って生まれた抵抗力のことです。「自然免疫系」とは、生体における常設の防衛部隊で、リゾチームや補体、インターフェロン、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞などが、私たちの体の中に常駐して防衛にあたっている場合をいいます。
ところが、非常に強い毒性を持った病原菌やウイルスに感染した場合には、自然免疫系だけでは防ぎきれず、そこで登場するのが獲得免疫系です。
「獲得免疫系」では抗原を抗原提示細胞が取り込み、抗原の情報をリンパ球のT細胞に与えます。これを受けたT細胞はさらにB細胞に情報を与え抗体を作るように指令します。

液性免疫・細胞性免疫
獲得免疫系には大きく分けて「液性免疫」と「細胞性免疫」があります。生体側の免疫の働きは、通常、体に入ってくるものがバクテリアであるかウイルスであるかによって違ってきます。
基本的には、抗原がバクテリアなど血液と組織に関連する場合は、抗体がそれに対抗し、この場合を「液性免疫」といいます。抗原がウイルスやがんなど細胞に由来するものであると、キラーT(Tc)細胞が対応して処理し、これを「細胞性免疫」といいます。
液性免液は、B細胞が発射する抗体が主体となって抗原を排除する反応で、細胞性免疫はキラーT細胞やマクロファージといった免疫細胞たちが主体となって抗原を排除する反応のことです。この二つの仕組みが力を合わせることで、抗原を排除しています。ここで大切なことは、細胞性免疫も液性免疫もヘルパーT細胞なしには発動しないということです。

骨髄・胸腺
免疫に関する器官として非常に重要なものに「骨髄」が挙げられます。骨髄では、リンパ球をはじめ赤血球を作る細胞の元(造血幹細胞)が作られています。骨髄とともに重要なのが「胸腺」です。胸腺では骨髄で作られた細胞の一部が移動し、胸腺内でT細胞と呼ばれる働きの違う細胞に形成されます。T細胞は骨髄から胸腺に移動した段階で徹底的に教育され、自己には攻撃しないという性質を獲得します。

自己免疫
免疫反応というのは、ウイルスや病原菌が体内に侵入すると免疫系のリンパ球や抗体がそれに反応して排除する仕組みです。ところが免疫系に異常があると、抗体やリンパ球が自分の細胞に攻撃をしかけて、自分の体を傷つけたり、病気になってしまいます。認識を誤ってしまうということです。これを「自己免疫疾患」と呼んでいます。関節リウマチや膠原病と呼ばれる疾患などです。また、もともと胸腺や骨髄などに異常があり、そのために免疫機能が働かないという「先天的免疫不全」やエイズウイルスに代表される「後天的免疫不全」、さらに免疫系の細胞を腫瘍化(がん化)するものなどがあります。

免疫力の低下・亢進
老化などで免疫力が低下すると、外敵の餌食になって諸々の病気を起こしやすくなります。老人がインフルエンザに弱いのも、老人にがんが多いのも免疫力が低下するためと考えられています。
だからといって、免疫力が強ければ強いほどいいのかというと、必ずしもそうではありません。外部から体内に異物(抗原)が侵入してきた場合、それを排除しようとして異物に対する免疫反応(抗原抗体反応)が過敏になりすぎると、今度は別の病気を引き起こすからです。

体を守る不思議な仕組みである免疫は、両刃の剣で、亢進(ひずみ)しても、低下(不全)してもいろいろな病気を生じさせます。
慢性病といわれる病気の中には、免疫の不調から起こるものが数多くあります。免疫系の病気は難病中の難病が多いといわれていて現在治し難い病気の典型例となっています。


免疫反応が亢進したりひずみを起こすと
  アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎・花粉症)や自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、膠原病、甲状腺機能異常、潰瘍性大腸炎、糸球体腎炎など)の原因になります。

免疫の低下や不全に陥ると
  感染症(風邪、扁桃炎、肺炎、ウイルス性肝炎、ヘルペス、帯状疱疹、日和見感染症など)を引き起こしやすくなります。その他、痛風、動脈硬化、糖尿病、腫瘍(がんなど)などを引き起こしやすくなります。

免疫を正せば自力で治る!!免疫を正し、自然治癒力を高めましょう!!

参考図書:からだと免疫のしくみ(上野川修一著・日本実業出版社)、好きになる免疫学(萩原清文著・多田富雄監修・講談社)、免疫学コア広義(木本雅夫、坂口薫雄、山下優毅編集・南山堂)他