当店が考える健康の基本C

自律神経をリラックスさせる〜ストレスと病気〜

「ストレス」という言葉は、もともと工学・物理学で使われていたものです。ある物体に外から力が加わったときに生じる“ひずみ”という意味です。たとえば、ゴムボールを指で強く押すとへこみ(⇒ひずみ)ますが、この状態を「ストレス」といい、指で押す力(加えられた刺激)を「ストレッサー」といいます。

この「ストレス」と「ストレッサー」の関係を生体に応用し、ストレスという言葉を広めたのがカナダ・モントリオール大学のセリエ教授です。

〜ストレスとストレッサー〜
ストレスは大きく3つに分けられます。
@物理的・化学的なストレッサーによるストレス(暑さ・寒さ、騒音など)
A生理的ストレスで、ストレッサーとしては、疲労、感染などが代表的です
B社会的・心理的なストレスで、ストレッサーとしては、人間関係、職場や家庭での不満、失望や挫折感、老後の不安などが代表的なものです。

しかし、ストレスがすべて悪いものとはいいきれず、適度のストレスは人間がたくましく生きていくうえで、むしろ望ましいことがあります。ストレスをバネに頑張ろうというのは、いいストレスといえます。しかし、同じ程度のストレスでも、どのように受け止めるかは、その人の立場や環境、年齢など諸々の条件によって異なります。

人の体には地球の自転に従った周期(サーカディアン・リズム)があり、約25時間で一回りする体内時計が備わっています。このリズムを形成するところは脳の視床下部に存在します。視床下部が侵されると、まず睡眠が障害され、自律神経障害、内分泌障害、代謝障害などが次々と現れてきます。

〜ストレスと免疫能〜
ストレスにより免疫機構(免疫能)、免疫反応が低下することがわかってきました。運動部の選手に肉体的ストレスを与え、リンパ球の中のナチュラルキラー(NK)細胞を調べたところ、その活性が低下していました。精神的ストレスを与えた後でも同じようにNK細胞の活性が低下しました。肉体的ストレスや精神的ストレスにより免疫能が低下すると感染に対する防御力の低下や、がんに罹りやすい、がんの進行を早めたりすることになります。ストレスは慢性関節リウマチの引き金になりますし、糖尿病にも非常に関わりのあるものです

〜ストレッサーとホルモン〜
何らかのストレッサーが加わると、その刺激が最初、脳にある視床下部に伝わります。視床下部は神経系と内分泌系の働きを統合するところです。視床下部から発せられた指令が、神経系と血管系を介し下垂体に伝えられ、下垂体がそれぞれの内分泌腺に指令を出しホルモンを分泌させます。

ストレッサーが加わると、まず視床下部はCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)というホルモンを放出し、これがさらにACTH(副腎皮質刺激ホルモン)やベータ・エンドルフィンの分泌を促します。ACTHはコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の分泌を促します。コルチゾールが大量に分泌されると免疫系の働きを抑制します。

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、交感神経は“攻撃的”な自律神経、副交感神経は“平和的”な自律神経といえます。この二つが相反する作用をもっていて、必要に応じ、どちらかの働きを活発にして生体内のバランスをうまく保っています。

コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれ、慢性化したストレスによりコルチゾールが継続的に分泌されると、交感神経が刺激・緊張されたままになり、末梢血管の収縮が緩むことなく持続し、血行障害を生むことになります。血行障害は慢性的な「冷え症」「肩こり」「便秘」などの原因になると同時に、気力の低下を招き「不眠症」「不安」「自律神経失調症」などの精神障害も引き起こす原因になってしまいます。さらに交感神経の持続的な緊張は「高血圧」「高血糖」を起こしやすくもし、免疫力を低下させて「感染症」「がん」などの罹患率を高めてしまいます。

傷ついた組織の再生は、副交感神経が優位な状況で起動します。したがって、自律神経をリラックスさせ、刺激された交感神経を鎮静し、副交感神経の働きを強めることが免疫力(自然治癒力)を働かせるうえで最優先すべきことといえます。

自律神経をリラックスさせる心のもちようを考えましょう!!

参考図書:ストレスと免疫(星恵子著:講談社)、サプリメント活用バイブル(長谷川秀夫著:日本サプリメント臨床研究会)ほか