気になる病気の話C

◆呼吸器系の病気◆〜慢性閉塞性肺疾患(COPD)

呼吸器系は鼻腔、または口腔に始まり、咽頭、喉頭、気管、気管支そして肺へと続きます。このうち鼻から気管支までの空気の通り道は気道と呼ばれます。気管支は肺門から肺へともぐりこみ、さらに細かく枝分かれして先端は肺胞というぶどうの房のような組織につながっています。肺胞に送られた空気は、ここで酸素と二酸化炭素を交換します。そして再び気道を通って外へと吐き出されます。

肺の内部は太い気管支とそこから枝分かれした細い気管支、肺胞、たくさんの血管からなっています。肺の主な働きは血液中の酸素と二酸化炭素を交換することですが、ガス交換は肺胞で行われています。肺胞の表面には毛細血管が網目のようにからんでおり、この毛細血管を通してガス交換が行われているのです。

呼吸器の病気でよくあるのが「感冒・風邪症候群」です。鼻の粘膜に炎症が起こり、ひどくなると、のど・気管・気管支と奥の方に入り込み、さらに肺まで達すると「肺炎」を引き起こします。気管が急に縮んで気道が狭くなる「気管支喘息」、煙草などが原因で慢性的に肺や気管支に炎症が起こり続け、さらには肺胞が壊れたり、細かい気管支がつぶれたりしてしまうのが「慢性閉塞性肺疾患」です。

肺炎には細菌性・ウイルス性・マイコプラズマ・嚥下性などがあります。その他、呼吸器疾患には、肺結核、気管支拡張症、間質性肺炎、胚塞栓・肺梗塞、肺がん、自然気胸などがあります。

◎慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDは一つの疾患ではなく、慢性気管支炎、肺気腫、びまん性汎細気管支炎など、長期にわたり気道が閉塞状態になる病気の総称です。閉塞性換気障害を特徴とする疾患です。

慢性気管支炎は、長期間にわたる気管支の炎症により気管支粘膜が肥厚するため、内腔が狭くなり、また過剰に分泌された痰により気管支が詰まる病気です。喫煙や大気汚染、体力の衰えや老化、体質の遺伝などが原因です。症状は長く続く咳と痰、ひどくなると息切れも自覚するようになります。

肺気腫は長年の喫煙などによりガス交換の場である肺胞が壊れ、数が減るとともに壊れた肺胞の出口が大きく膨らんで弾力性や収縮性を失うために、息を吐く時に肺胞の出口の気管支がつぶれてしまいます。そのため酸素を失った空気が肺胞に残り、酸素の多い新鮮な空気を吸い込むことができず、息切れを起しやすくなるのです。慢性的な酸素欠乏の状態(慢性呼吸不全)となるのです。症状は、階段や坂道を登る時に息切れを自覚するのが始めで、ひどくなると平地でも息切れを自覚するようになります。

COPDを治療する特効薬はなく、気管支拡張剤とステロイド剤が用いられています。あと呼吸理学療法、酸素療法などがなされています。

漢方薬は、麻杏甘石湯、五虎湯、小青竜湯、麻黄附子細辛湯、神秘湯、小柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯、清肺湯、半夏厚朴湯、苓甘姜味辛夏仁湯、六君子湯、通導散、桂枝茯苓丸、補中益気湯などを組み合わせて用います。

参考図書:看護のための最新医学講座・呼吸器疾患(中山書店)、症状からわかるからだの病気(瀬在幸安監修・法研)他