健康に関する話題A

◆アミノ酸の働き◆

ミネラルウオーターからスポーツドリンク、日本茶へとペットボトルの中身が変化してきましたが、今、人気を集めているのがアミノ酸飲料です。もともとアミノ酸は点滴用の栄養輸液としてブドウ糖にかわるものとして開発されたものです。その後、スポーツ界でもプロテインにかわって、筋肉をつくりエネルギー源ともなるアミノ酸の即効性が注目されるようになりました。今では健康面全般、美容面、抗老化面でも注目されています。

たんぱく質は、炭水化物(糖質)、脂質とともに私たちの体にとって不可欠な三大栄養素の一つで、細胞をつくる材料となり、エネルギーを生み出す源となります。人間が生命を維持するためには、1日に体重1kg当たり1.1gのたんぱく質を摂る必要があるとされています。これらの大切なたんぱく質をつくっているのがアミノ酸です。アミノ酸は、たんぱく質を構成する最小単位なのです。現在アミノ酸は確認されているだけでも約500種類の天然アミノ酸があり、その中で私たちの体をつくっているアミノ酸は20種類です。

食べ物に含まれているたんぱく質は、そのまま私たちの体をつくるたんぱく質とはなりません。体内で20種類のアミノ酸に分解され、それから有用なたんぱく質に合成していく作業が必要になります。植物や微生物などには、たんぱく質合成に必要なアミノ酸をすべて合成する能力があります。しかし私たちの体内では20種類のうち、何種類かは合成することができず、足りないアミノ酸は食物から摂取することになります。

このように私たちの体内で合成できないアミノ酸のことを「必須アミノ酸」といいます。必須アミノ酸のうち、成人に必要なものは、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8種で、これに幼児期で必要なヒスチジンを加え9種となります。一方残りの11種のアミノ酸は「非必須アミノ酸」と呼ばれ、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、オルニチン、チロシン、セリン、アラニンなどは体内で合成が可能です。非必須アミノ酸を含めさまざまな種類のアミノ酸を食物として摂り入れることによって体内でバランスよくアミノ酸を利用できるようになるのです。

アミノ酸の期待される効果

スポーツ分野での期待される効果
@筋力の向上、A持久力の向上、B疲労回復・疲労予防などがあります。
*分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)は筋肉の質を高め、エネルギー源として速効性、長時間運動する際の血糖値の維持に重要な働きをしています。
*アミノ酸はスポーツ障害の予防や、気力・集中力の低下にも効果があります。

美容効果
@アミノ酸はpHのバランスを保つ作用、
A角質層細胞の天然保湿成分の約40%がアミノ酸で、皮膚の柔軟性はアミノ酸の保湿効果、
Bアミノ酸の多様な結合により毛髪は弾力性に富む、
Cメラニンの産生を抑制する効果、
Dダイエット効果
などがあります。

病気の治療としての栄養補給
病気などさまざまな理由により、通常では起こりえないたんぱく質の欠乏が起こることがあり、たんぱく質を十分摂っていても、アミノ酸が不足することがあります(血中アルブミン値の変化)。
@高カロリー輸液療法、A消化態栄養剤、B成分栄養療法(クローン病)、C必須アミノ酸療法(腎不全)、D分岐鎖アミノ酸療法(肝硬変)など。

アミノ酸の摂取についての安全性
健康な人が摂取する限りにおいて、多少余剰に摂っても害になることはほとんどないとされています。しかし注意が必要な場合もあります。
@人工透析をしている人
Aフェニルケトン尿症の人
Bメープルシロップ尿症の人
C肝臓に障害がある人

アミノ酸の働き
@集中力を高める
A免疫力をアップする(アルギニン、グルタミン)
B疲労回復と解消をスピードアップする(分岐鎖アミノ酸・アルギニン)
C傷んだ胃の粘膜を修復する(グルタミン)
D腸機能の低下を改善する(グルタミン)
E肝機能を高める(分岐鎖アミノ酸、アルギニン、メチオニン)
F血管拡張作用で血圧を下げる(アルギニン)
Gサラサラ血液で動脈硬化を防ぐ(アルギニン、メチオニン)
H糖尿病対策に(アルギニン、アラニン)
I食欲不振に
J肌をより若く・美しく
Kアンチエイジングに

参考図書:専門医が認めるアミノ酸・WHY免疫療法研究会著・松山淳監修・COSMOS)、アミノ酸の科学(桜庭雅文著・講談社)他