健康に関する話題④

◆瘀血(おけつ)とは?◆「お」という字は、“ヤマイダレ”に於と書きます。

 瘀血(おけつ)という言葉は漢方でよく使われる言葉です。中医学では、血瘀(けつお)といいます。また古血(ふるち)とも言われます。中医学でいう病理的産物の一つ、即ち、病気になるもとの物質あるいは状態のことです。

瘀血(おけつ)を簡単に説明すれば、血液の流れが悪い状態ということです。血液の粘りが高くなり、血液が流れにくくなると、体は当然弱ってきて病気の原因になってきます。血液は全身に養分を届け、全身の老廃物を回収しています。この血液が変質(粘度が増す)すると、血液が流れにくくなり、血管も老化(硬化)してきます。当然、体のバランスは崩れてしまいます。


瘀血(おけつ)に関する現代の研究によれば以下にあげる病理変化も瘀血(おけつ)の範疇としてとりあげています。
1)血液循環障害、とりわけ微小な循環障害によるうっ血・出血・血栓・水腫など
2)炎症による組織の滲出・変性・壊死・萎縮・増生など
3)代謝障害による組織の病理反応
4)組織の無制限な増生、あるいは細胞分化の不良

瘀血(おけつ)は血液の質にも関係しています。いわゆるドロドロした血液では血液の流れが悪くなります。ドロドロした血液は瘀血(おけつ)そのものといってもよいのです。そこでこのドロドロした血液をサラサラした血液にしてやると流れが回復してきます。血液がきれいになれば必然的に血管も改善されてきます。残念ながら生活習慣病の人たちには、大抵このような「瘀血(おけつ)」の症状があります。ですから生活習慣病は治りづらいのです。

毛細血管での微小循環が阻害され静脈血の酸素分圧が低下すると、頭痛、肩こり、胸痛、腹痛、関節痛が起こります。子宮筋腫、皮膚の硬化、精神障害、腹部膨満感、タール便、糖尿病、痛風、血の道症、高血圧、心筋梗塞、脳血栓、気管支喘息、慢性肝炎、慢性腎炎、リウマチなどの症状には、共通して「瘀血(おけつ)症状」が見受けられます。

瘀血(おけつ)の三大症状は「痛む」「しこる」「黒ずむ」です。
①胸痛、頭痛、腹痛、関節痛、胃潰瘍の痛み、
②子宮筋腫や卵巣嚢腫、
③舌や唇、皮膚などがくろずみ、皮膚が厚く乾燥する状態になります。
瘀血(おけつ)の原因は、ストレス、不摂生な食事、運動不足、冷えと暑さ、気虚(気の不足)、血虚(血の不足)などが考えられます。

瘀血(おけつ)とかかわりの深い病気(血管力をつければ病気は治る・p103より)
 1.神経痛、リウマチ、関節痛、筋肉痛
 2.冷え性、肩こり
 3.皮膚瘙痒症、アトピー性皮膚炎、乾性湿疹、慢性じんましん
 4.外傷性疼痛(打ち身、ねんざ)
 5.血管性神経痛、脳外傷後遺症の頭痛、半身不随
 6.動脈炎、静脈炎、血栓性血管炎
 7.動脈硬化、高脂血症、高血圧
 8.月経困難症(生理痛)、不妊症
 9.慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
10.腫瘍、できもの、前立腺肥大、慢性前立腺炎
11.慢性腎炎、ネフローゼ
12.性機能障害(不妊を含む)
13.肝炎、肝硬変
14.糖尿病
15.健忘、不眠、イライラなどの精神障害

したがって、ドロドロした血液をサラサラにして血液の流れを回復させていくことが瘀血(おけつ)の症状の改善のための基本になります。また、血液循環の環境が整備されることにより充分な酸素、栄養素が各細胞、組織に届けられ機能も回復するので自然治癒力も高まってきますし、老廃物(体内毒素など)もスムーズに代謝され好環境につながります。

瘀血(おけつ)を防ぐことは、健康へつながる近道!!

*「お」という字は、“ヤマイダレ”に於と書きます。

参考図書:漢方用語大辞典(創医会学術部主編・燎原)、血管力をつければ病気は治る(横澤隆子著・リヨン社)、東洋医学(漢方)の知識Ⅰ(和漢生薬研究所)他