ゆりかごの中の猫/ハリー・チェイピン
(今回は「feat:白色矮星君」です。)
先日わしの子供が生まれたんじゃ
普通の感じでこの世界にやってきたんじゃ
でも飛行機の予定があるし支払いもある
彼はわしがいない間に歩き始めたんじゃ
わしが気付く前に話し始めたんじゃ
そして成長すると言ったんじゃ
「ボクはパパみたいになるんだよ!
パパみたいになるんだからね!」
そんで、ゆりかごの中のネコと銀のスプーン
ちっちゃい男の子は憂鬱で月にいる人
「いつ帰ってくるのかな?」
「いつになるかは解らないんじゃが
その時わしらは一緒に過ごせるよ
そしたら楽しくやれるんじゃよ」
先日、息子は10歳になったんじゃ
彼は言った「ボールだよ、ありがとう!パパ、一緒に遊ぼうよ!
ボクに投げ方を教えてよ!」
わしは言ったんじゃ
「今日は色々とやることがあって無理じゃがな」
彼は「いいよ」と言ったんじゃ
そんで、立ち去ると微笑んで言ったんじゃ
「ボクはあの人みたいになるんだよ!
ボクはあの人みたいになるんだからね!」
そんで、ゆりかごの中のネコと銀のスプーン
ちっちゃい男の子は憂鬱で月にいる人
「いつ帰ってくるのかな?」
「いつになるかは解らないんじゃが
その時わしらは一緒に過ごせるよ
そしたら楽しくやれるんじゃよ」
先日、息子が大学から帰ってきたんじゃ
男らしくなってわしは言わなきゃならんと思ったんじゃ
「お前はわしの誇りじゃよ
ちょっと座っていかないか」
彼はクビを振ると微笑んで言ったんじゃ
「父さん、実は車を貸して欲しいんだよね
それはまた後で。で、貸してくれるよね?」
そんで、ゆりかごの中のネコと銀のスプーン
ちっちゃい男の子は憂鬱で月にいる人
「いつ帰ってくるんじゃ?」
「いつになるか解らないけど
その時は一緒に過ごせるよ
そしたら楽しくやれるよ」
わしが引退してからかなり経った時、わしの息子は引っ越して行ったんじゃ
先日わしは彼に電話したんじゃ
「かまわなければ会いたいんじゃが」
すると彼はいったんじゃ
「時間があればそうしたいんだけどね、父さん
ボクの新しい仕事がタイヘンだし、子供が流感にかかってるし
でも父さんと話せてホントに良かったよ
ホントに良かったんだよ」
わしが電話を切った時に思ったんじゃ
彼はわしと同じように成長したんじゃ
わしの息子はわしとそっくりじゃ
そんで、ゆりかごの中のネコと銀のスプーン
ちっちゃい男の子は憂鬱で月にいる人
「いつ帰ってくるのかな?」
「いつになるかは解らないんじゃが
その時わしらは一緒に過ごせるよ
そしたら楽しくやれるんじゃよ」